カナダの建築家でありUniversity of Manitoba Faculty of Architectureの教授であるMark West が私を尋ねてきた。
彼もネット (fabric) を使って建築の梁や柱といった部位の製作を研究している。
それを企業に提供することを考えていて、建築自体をつくることはしていない。
私のやっているURCに興味を持ったようだ。
URCを使った「Stone Renaissance」「セルフビルドin鴨川 (self build in kamogawa)」と近藤春司さんの建築を見学に行く。
彼はネット(fabric)を使って不思議なものを作っている。
http://umanitoba.ca/architecture/cast/research/fabric_formwork/index.html
数年後の2008年、カナダへ招かれた。
University of ManitobaのMarkの所に到着すると、広大な大学の構内にあるしゃれた工場のような独立した研究所だった。
内部にはモデルが沢山列んでいた。
世の中のいろんな所にネットを使って試行錯誤している人が10人ほどいるらしい。
カナダに招かれたのは、その人たちを集めて会議をやろうということだった。
それほど多くないオーディエンスの中で2日間に渡って発表があった。
Conferenceの様子(video)
多くの人は、ネットを使ってはいるがまだ建築には至っていないものが多かった。
建築自体をネットを使って作ってしまおうという人は、私以外にアメリカにSandy Lawtonという人がいることを知った。しかし彼は、寒い地域でのものにまだ断熱材を取入れていなかった。
私がURCを発表したのが1997年で、この時点で11年が過ぎているが、
まともに住空間としての建築に取り組んでいるのは私だけのようだ。
発表会のあと、参加者達が思い々でネットを使ってのワークショップが行われた。
私は、ネットに石膏を吹き付けて構造体をモデル化してみた。
終了後に記念写真をとる。
皆さん、世界の各地でfabricを使った造形に格闘している人たち。
こんなことをやっているのは自分だけかな、と思っていたが、
結構いるもんだ、と思った。
Markがfabric formworkで作った梁に全員が乗る。
発表会が全て終了してから、Markが手がけたという柱を見せてもらった。
翌日、カナダらしい所を案内してくれと頼んでおいたので、彼の窓ガラスが割れたままの車でドライブに出掛けた。
何処までいっても真っ平らだった。
そして湖に案内してくれた。
もっと真っ平らだった。
シカゴとニューヨークに寄って帰路についた。
シカゴのライト、ニューヨークのミース、どれもよかった。
シカゴ近郊のミルウォーキーの湖畔にあるカラトラバの美術館にはびっくりした。
私は、それよりもその隣に建っているエーロ・サーリネンの戦没者記念館の方に感銘した。
背筋がぞくっとするほど構造が美しかった。
シカゴ郊外のプラノにあるミースのファンズワーズ邸は、写真とは大違いだった。
これまで、ミースのことはあまり関心が無かった。
建築は、実物を見なければ分からない。