阪神淡路大震災 (1995.1.17) を機に、丈夫でセルフビルドも可能なものを作りたいと思った。
その頃、断熱の大切さも強く感じていた。
それまでRC造は、その劣悪な熱環境のために、かっこいいものが作れるとは思っても自分で作ってみようとは思っていなかった。
しかし断熱を考えている時に、RC造を外断熱で作るととんでもない熱容量が室内に取り込めることを知った。
一気に理想的な熱環境の空間が実現する。
RC造は丈夫だし、それを外断熱で作ることが出来たら素晴らしい。
それを、セルフビルドで出来ないだろうか。
そうしてURCの開発を始めた。
それまでRCのことなど何も知らないのと同然の人間だからこそ出来たのかもしれない。
少しでもかじっていたら、多くの先人たちが研究し尽くしているし、
RCに新しい工法などある筈が無いと思って、はなから挑戦してみようなどとは思わなかったかもしれない。
そうして生まれたURCは、震災の2年後の1997年に住宅(高蓄熱URCハウス1st) を造る機会が訪れた。
実際にURCを使ってセルフビルドした人も現れた。
当社で手がけたURCの家は8軒になった。
(fabric formwork architecture)
その後現在も、改良を重ねながら小さな事務所で奮闘している。
2006年のこと、カナダの建築家 Mark West が私を尋ねて来た。
彼もFabricを使って建築の部位の製作を研究していた。
2008年。Mark West が Fabric Formwork の Conference をするというので招待された。
私のURCを発表した。
その後、Fabric を使ったコンクリートの造形が世界に少しづつ広がっているようだ。
「fabric formwork」で検索すると様々に試行錯誤している例が沢山見られる。
多くは造形の試行に留まっており、Sandy Lawton 以外は、まだ建築には達していないようだ。